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事業承継事例①

後継者へ自社株の贈与で新事業承継税制を活用

中小企業診断士 久田章

★プレ事業承継 ①決断、②課題の見える化、③経営の磨き上げ(経営革新)、④他
★事業承継本番 ①事業承継計画書、②経営の承継、③事業資産知的資産の承継、④他
Before
創業30年を迎えるT社は数年ほど前より、創業社長であるA(71歳)から、長男であるB(44歳)に事業を承継させる旨を語られていた。しかし、自社株の評価額が設立時1株50,000円であったものが、好業績を維持してきたため、1株840,642円にもなってしまった。
T社は資本金6,000万円(200株)、株主構成はA 138株、C(非同族)52株、自社株式10株であり、Aの持ち株の評価額は約1億1,600万円でした。このまま、Aの持ち株式138株を後継者となるBに贈与すれば、約5680万円の贈与税を納付しなければならない。
After
当初、旧事業承継税制(平成27年から施行)を活用しようと準備を進めていたが、同税制が改正され、中小企業にとっては恵みの新事業承継税制が新たに平成30年より施行されることになった。渡りに船で、推進計画策定の上、新事業承継税制を活用し、Aが保有するT社の株式(非上場の株式)を長男であるBに贈与すりことを決定し実施した。
結果、贈与税が約5,680万円が猶予された。
具体的な手続・手順
・2018.4.10  Aの代表取締役退任、役員退職金支給 同時にBのT社代表取締役就任
・2018.8.27  AからBへ自社株贈与(138株)
・2018.9.25  認定経営革新支援機関による所見の記載を受ける
・2018.9.25  「施行規則第17条第2項の規定による確認申請書」(特例承認計画)を大阪府知事へ申請
・2018.10.16 「施行規則第17条第4項の規定による確認書」を大阪府知事より受領
・2018.12.19 「第一種特例認定中小企業者に係る認定申請書」を大阪府知事へ申請
・2019.2.12 「認定書」を大阪府知事より受領
・2019.2.28 「平成30年分贈与税の申告書」(納税猶予適用申請書)を税務署に提出
推進上のポイント・留意点
1.「新事業承継税制」は平成30年より施行され、いろいろな縛りが有り活用しづらい面もありますが、中小企業にとって恵みの税制。是非活用して下さい。

2.「新事業承継税制」は10年間の特例措置、活用するためのハードルは3つ

①H30年から5年以内に「特例承認計画」を都道府県知事に申請しておくこと。
※この申請は事業承継をしたいのなら、まず申請しておくこと。次のステップへは確認書が必要。
②贈与税の納税猶予を適用されるには、都道府県知事発行の「確認書」が必要。
③贈与税の申告(納税猶予提要申請)をして初めて、贈与税の猶予となる。

3.その他①適応が受けられる会社の条件、②贈与者(先代経営者)の適用条件、③受贈者(後継者)
の適用条件等がありますが、必ず事業承継の専門家と事前確認をしてください。

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