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『未払い残業代の時効延長(最大5年)に向けて準備すること』林英彦(社会保険労務士)

JCGReport.007

 

 

フォレスト社会保険労務士事務所
代表 林 英彦 <社会保険労務士>

1.残業代とは

労働基準法で会社が従業員を働かせることができる時間は、原則として1週間あたり40時間まで、1日あたり8時間までと定められています。
この時間をやむを得ず超過して働かせた場合は、時間外労働となり通常の1.25倍の賃金を払う義務が生じます。このときの支払いを一般的に残業代と言います。

2.労働時間とは

労働時間という言葉を何気なく使いますが、その定義は、あいまいです。
最高裁の判例から、“労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間”をさすという考えで広く理解されていますが、例えば自宅で明日のプレゼン資料を確認する時間が労働時間か?など、具体的に考えると悩ましいケースが多くあります。
このような背景もあり、知らず知らずのうちに未払い残業が発生しているというのが中小企業の実情です。

3.未払い残業代の請求

昨今、労働者を支援する立場の弁護士が積極的に宣伝している背景もあり、経営者が未払い残業代を請求されるケースがとても増えています。
もともと未払い残業代は、時効により2年間分さかのぼって請求できました。
未払い残業が5万円/月ならば、120万円となります。
しかしながら、2020年4月から、時効が3年に延長となり、最終的に5年まで延長される見込みとなっています。
よって、未払い残業が5万円/月ならば、300万円となり、仮に10人から請求があればと考えると経営を揺るがす大きなリスクとなりました。

4.経営者の備え

経営者と話をしていると、従業員が実際にどのくらい働いているか把握していないケースが多いです。
まずは、“知らない間に残業時間が膨れあがっていた”ということがないように、会社にいる時間(拘束時間)をタイムリーに把握するようにしましょう。
そこから、残業の申請方式の導入、変形労働時間制の導入などの就業規則の見直しに関する取り組みと、生産性向上に向けた業務改善の取組みにつなげていきます。
昨今の労働者は、賃金の多さよりも残業の少なさを重視する傾向がありますので、それらの取組みは、人材確保にも効果を発揮します。
この機会に事業成長の礎となる労務管理に取り組まれてはいかがでしょうか。

フォレスト社会保険労務士事務所
代表 林 英彦 <社会保険労務士>
住所:大阪市西区 靭本町3丁目3-3
サウザント岡崎橋ビル8F
URL:https://forest-sr.com/

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