後継者へ自社株の相続で新事業承継税制を活用
中小企業診断士 須崎保弘
★プレ事業承継 | ①決断、②課題の見える化、③経営の磨き上げ(経営革新)、④他 |
★事業承継本番 | ①事業承継計画書、②経営の承継、③事業資産知的資産の承継、④他 |
Before | |
懇意にしている税理士から改正新事業税制の適用ができないかとの依頼を受ける。従業員数20名の優良企業だが特定資産要件該当、代表社長の突然の死亡(平成30年2月)による相続税の申告で新事業税制の適用可能性。 株式は先代・2代目(会社実務は先代と2代目で双方とも代表権を有し、2人足しての株式割合は50%強)及び兄弟3名及びその他少数株主(当社事業への参加はない。)に分散。 | |
After | |
高株価であり、新事業承継税制の活用によって手間に見合うメリット(当初は税額3~4千万減税)が得られると判断 チェックポイント:(主だった検討内容。他のチェックは中企庁HPチェックリストでおこなう。) |
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具体的な手続・手順 | |
2018.6:懇意にしている税理士より相談あり(先方にも話していない段階。) |
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推進上のポイント・留意点 | |
今回の改正によって、使い勝手は良くなり上手く活用すれば、自社株移動は掛けた以上のメリットはあるが、減税だけに目を奪われるのではなく本来目的(事業承継)を忘れないことが重要 〇留意点:最も重要と考えるのは出口戦略 ・初代から2代目への移動で特例を受けた場合は、自社株に対応する相続税は猶予されるが免除されたわけではないこと。⇒免除は2代目の相続まで待たなければならず、当初5年間は毎年、それ以降は3年に一度、府及び国に報告書の提出が義務づけられていること。⇒失念すれば猶予税額支払及び利子税支払 ・リスク軽減策の検討:自社株対策、相続税精算課税等諸制度活用 ケースにもよるが、猶予税制施行期間内に2代目から3代目への生前贈与⇒初代の相続乃至贈与に関わる猶予税は免除される。 猶予期間中に猶予自社株式を移動すると猶予税金及び利子税の支払いが必要⇒M&Aや廃業(倒産は免除)の可能性もある場合には要検討。 |